新思考入試(地域連携型)について

2023年度の「新思考入試(地域連携型)」(2024年度より「地域探求・貢献入試」)が公開されています。昨年と同様の日程だとすると、今年度の出願期限までもう半年なので、実際に受験する意志のある方は今から少しづつでも具体的に動き始める必要があります。

その地域連携型入試の「問1」は、志望者が提出した「課題レポート」と、早稲田大学ならびに法・商・文・文構・人科・スポ科各学部の教育理念・教育方針・求める人材との結び付きを問う問題でした(問2は新聞記事と統計データが提示される、例年と同様のオーソッドクスな問題でした)。

この問1について、地域連携型入試に参加している志望学部のHPやパンフレットに事前に自主的に十分目を通しておく必要があり、仮に「全くの初見」だったのなら対策として極めて甘く、時間的にも厳しかったのではないでしょうか。それに加えてこの問1については、明らかに早稲田出身者による指導こそが望ましいでしょう。

また問1を見て感じるのは、地域連携型入試自体の来年度からの名称変更と相まって、まだ手探りの部分も大きいという印象です(6学部間の調整と、その上での問題作成も容易ではないと感じます)。

地域連携型入試では、1次「書類審査」の一部として「課題レポート」が課されます。この「課題レポート」の比重・重要性は非常に大きいと考えるべきでしょう。特に留意する点として、「レポート」と銘打っていても、大学の講義で提出する「レポート」というよりは、大学院の「研究計画書」の方にずっと近いものと個人的には捉えています。この点、大学院の世界を知っている方からの指導が明らかに望ましいでしょう。ただ、その指導者の側も、「テーマ選定」そのものに大幅に干渉してしまうのは極めて不適切です(もちろん指導者がテーマを決めてしまうことも含めほぼ不正行為)。地域社会が抱える特定の課題につき、志望者ご本人が見出した「テーマ」・「問題意識」は決して損なわずに、構成・表現・体裁まで行き届いた「課題レポート」をあくまで「自力で書ける」よう極めて慎重に上手くリードしてあげる必要があります。

当然ながら、地域連携型入試では、地域が抱える問題への深い問題意識と洞察が求められます。茨城県には筑波大・茨城大といったれっきとした国立大学が複数あり、地域によっては千葉大や埼玉大も十分に通学可能でしょう。地域の問題に深い関心があるのに、なぜあえて早稲田で学ぶ必要があるのか(ここにはある意味「矛盾」が横たわっています)、そして、なぜその特定の学部を志望するのかも同時に問われます。

他方、千葉県や埼玉県は、案外名の知れた有力大学は少なく、自ずと東京の大学に目が向きやすい面はあると思います。これら2県は、早稲田の合格者の非常に多い進学校を複数擁するだけでなく、地域によっては、早稲田への交通アクセスにも非常に恵まれています。

地域連携型入試の問題自体は、一般入試の問題よりは取り組みやすいですが、事実上小論文2題(60分×2=120分)というのは相当ハードです(その後でさらに共通テストを受験する必要もあります)。それでも同入試は、良い意味で「試練」として取り組む「過程」を通じ、早稲田に入る前から事実上早稲田での学びを体験することで、自分自身を大きく成長させることができる絶好の「機会」であるのも間違いないです。

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