数学と私

本講座では、数学を提供可能科目としては提示していません。私は高校の時数学がものすごく苦手でした。「数学アレルギー」を優に越えて、「恐怖症」でした。少しだけ誇張して言えば、国公立医学部や東大「理系」志望者以外さして眼中になく、教科書(数研)から出題されないことがざらにある高校の試験で、実際に0点を取ってしまうことを恐れていました(私の高校は、2年次に文系と理系に分かれず、かつ、文・理の比率が通常とは完全に逆でした)。

このことについて、思うことは今でももちろん多々ありますが、その挫折のうち50%は数学があまり好きでも得意でもなかった私自身の責任で、数学をきちんと習得する上でいくつか個人的な失敗を犯していました(複素数・ベクトルと積分だけは、その先生が特によく教えてくださったため、平均以上で得意でした)。

早大法学部の時は、個人的に数学(と日本史)を使う機会がなく、大学院修士課程では、統計とゲーム理論に触れる機会がありました。そこではじめて学んだのは、数学というのは始めから解く気すら失せてしまうような複雑な難問の束ではなく、一つの有用な考え方・アプローチの仕方だということです。複雑な数式までは操れなくても、統計の仮説検定やゲーム理論の「戦略的相互依存」(ゲーム的状況)・「均衡」といった「考え方」が、社会科学的分析の「手法」としてだけでなく、議論したり社会で生きていく上でも非常に有用です。

早稲田の政経学部で考えてみれば、経済学科であれば「微分」などが特に大事でしょうが(統計も)、政治学科であればむしろ数学Ⅰ・Aの「集合と命題」や「データの分析」といった項目についての知識の方が、大学に入ってからも活用する機会が多いでしょう。

今現在私は、数学を無理に指導可能科目にしようとは思わない一方、数学が私たちの生活とどこでどう関わっているのかということに興味を持ちながら、楽しく数学に触れています。個人的には、「白チャート」と旺文社の「入門問題精講」で数学を根本からわかりやすく学んでいます。文系にはなじみのある「実教出版」の数学教材もわかりやすそうで、併せて取り組んでいくつもりです。特に私には、政経学部の「総合問題」について、数学的な設問まで含めてきちんと指導できるようにしておく必要があります。

「青チャート」や「赤チャート」は、進学校に通っていて、かつ難関校理系入試に「数学で勝負する」という方でなければ敬遠して、基礎を徹底する途を選んだほうが良いと思います(私はかつての類い稀な「下手の横好き」さゆえに、1年の時に「赤チャート」を買うという愚も犯していました)。

それでも数学は、講座・コースの科目としてではなく、講師と一緒に学ぶ「勉強会」として、無料に近い形で、土日等を利用して開設するつもりです。

最後に思うのは、私の高校に1クラスあった「理数科」についてです。その理数科に、国公立医学部や東大「理系」志望者の人たちだけを集めれば、そこでだけ数学や理科のいくらでも難しく応用的なことを教えられたと思うのですが、そういう形では機能していませんでした(授業内容で普通科とさしたる違いはないようでした)。その理由については自分なりに考えていきたいと思います。

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