『日本史』も開講すると決めてから、山川出版社の参考書『詳説日本史研究』を中心に勉強し直しています。その「現代史」の箇所で目を引く記述がありました。
同書の「アメリカによる対日占領政策の転換」の箇所で、当時米国国務省の政策企画室長だったジョージ・F・ケナンの果たした肯定的な役割がなかなか詳しく書かれていたのには感心させられました。ケナンといえば、国際関係論的には「対ソ封じ込め政策」の生みの親としての位置付けや、「マーシャル=プラン」策定への尽力などで最もよく知られていますが、核兵器にも強烈に反対されていました。
「歴史」ということでまたふと思い出したのは、イギリスの外交官・ジャーナリスト・大学教授であったE. H. カーの『歴史とは何か』のことです。私にとっては、同氏による国際関係論(国際政治学)の古典的名著『危機の二十年』の存在感があまりに鮮烈なこともあり、まだ『歴史とは何か』を手に取って読んでみたことはないのですが、私と同様、本の名前は耳にしたことがあるという方も少なくないのではないでしょうか。歴史科目が、『歴史総合』と日本史・世界史それぞれの『探求』へと再編されている中、そもそも「歴史」とは何なのだろうかという問いかけは、改めて大きな意味を持ってくる気がします。
上述のお二人はともに、旧ソ連・ロシアを専門とする外交官・歴史研究家でもあり、国際政治学では「現実主義」の最も著名な論者に含まれます。
大学で「社会科学」の学際的分野としての国際関係論(≒国際政治学)を真剣に、本格的かつ専門的に学ぼうとされる方は、このお二人の名と著書は覚えておいて損はないでしょう。お二人の著書のうち、日本語に翻訳されているものも多いです。