「社会科学(部)」について思ったこと

本田望結さんが、早稲田大学の「社会科学部」に進学されるという記事を拝見し、その「社会科学(部)」について思ったことを書きたいと思います。

「社会科学」とは、「社会的な諸現象を、理論的な視座から科学的・実証的に分析する学問」とひとまず定義します。「社会」というときに、それを「政治」や「経済」と区別することも多いのですが、「社会科学」というときには、政治・経済・政策・法律・経営や、市民社会・NGOの活動といったことも分析対象に含まれます。

私はこの場で、「人文社会学」という語を用いていますが、その「社会学」は、「個人」よりも総体としての「社会」と、そこにおける人々の「集合的な認識・心理」や「文化」の方に強い関心を寄せる学問だと、個人的には理解しています(もちろん「科学技術」なども考察の対象になり、社会学でも統計分析などのプローチを取る研究もあるわけですが)。

「法律学」は一般的に「社会科学」に含まれるとみなされていますが(それを批判するつもりはありません)、個人的にその内実は「人文社会学」の方に近いと考えています(もちろん、異なる学問分野の間に優劣などありませんし、法律学の分野でも統計を用いた分析は当然あります)。また「政治学」にも、「社会科学的な立場」と「人文社会学的な立場」の両方があります。

早稲田には、社会科学の諸分野を学ぶことができる学部が非常に多く、特に「社会科学部」ではそれら複数の分野を自分の関心に応じて幅広く、「横断的・学際的」に学ぶことができるはずです。

社会科学部は、かつては「政治経済学部」の二部(夜間部)だったわけですが、政治経済学部は「政治」と「経済」の現象は分かちがたく結びついており、両者を合わせて理解することの重要性(実際にそうだと思います)を強調されています。こちらもやはり横断的・学際的です。また、政治経済学部では政治思想(政治哲学)の研究も盛んです。

私も法学部・第一文学部とともに、社会科学部からも合格をいただきました。社会科学部というと広くて設備の良い「14号館」というイメージが強く、法律必修科目で大教室の講義でもお世話になりました(読書室も良いです。最上階ですが)。

本田望結さんが合格されたのが、一般入試なのかAO入試なのかはまだ判然としませんが、本講座では、特に推薦型の入試を受験される方には、その入試に備えるために志望学部の専門分野の新書や入門書を読むことを勧めていきます。

ちなみに私は、早稲田大学社会科学学術院の吉田敬教授著の『社会科学の哲学入門』(勁草書房)を読まなくてはいけないと思っているのですが、まだ購入できていません。ですが良書であることはまず間違いなさそうで、こちらもお勧めしたいです。

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